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(更新: 2026年9月2日)

Revit 2027 の新機能と .NET 10 — 自社ツールへの影響

Revit 2027 の新機能と自社ツールへの影響を公式ドキュメントから整理。.NET 10 は 2027 だけの話ではなく、2026.5 で Revit 2026 にも来ています。配置先の変更と Dynamo 4.0 の注意点まで。

要点: Revit 2027 は 2026年4月にリリースされました。目立つのは Autodesk Assistant(AI)MCP サーバーですが、いずれも現時点では技術プレビューです。実務への影響が大きいのは、むしろ地味な変更のほうです。オプションバーが廃止され、実行環境が .NET 10 に変わりアドインの置き場所そのものが変更されました。社内ツールを持っている会社は、この3つを先に確認してください。

🔴 さらに、.NET 10 は 2027 だけの話ではありません。2026年8月6日の Revit 2026.5 で、Revit 2026 にも .NET 10 が来ています。2027 に上げない会社も対象です。

⚠️ 本記事は、Autodesk が公開している公式ドキュメントを読んで整理したものです。使用感のレビューではありません。出典は各項目に明記しています。

Revit 2027 はいつリリースされましたか?

2026年4月です。Autodesk の公式リリースノートによると、最初の更新である 2027.0.1 が 2026年4月7日に公開されています。

その後も更新が続いており、公式に記載されているのは次のとおりです。

バージョン 公開日
2027.0.1 2026年4月7日
2027.0.2 2026年4月30日
2027.1 2026年6月16日
2027.2 2026年7月22日

ポイント: Revit はほぼ毎年メジャーバージョンが出て、その後も年に数回の更新が入ります。「上げるかどうか」だけでなく「いつ上げるか」も判断が必要です。出典: Revit 2027 Updates(Autodesk 公式)

目玉の新機能は何ですか?

AI 関連の2つと、描画性能の1つです。ただし AI 関連はどちらも技術プレビュー(Tech Preview)の扱いです。

AI
Autodesk Assistant

自然言語で Revit に指示を出せる機能。公式には「操作方法の案内」「モデルからの情報抽出」「プロンプトによる作業の自動化」の3つができるとされています。技術プレビュー。利用には Autodesk アカウントでのサインインが必要です。

AI 連携
MCP サーバー

MCP(Model Context Protocol)は、AI が外部のデータへ安全にアクセスするための共通の仕組みです。Revit がこれに対応したことで、外部の AI ツールから Revit のデータを扱う道が開きました。技術プレビュー。

描画
高速グラフィックス

Accelerated Graphics が技術プレビューを卒業し、正式機能になりました。断面ボックスの操作がリアルタイムになるなど、大きなモデルの操作感に関わる項目が複数あります。

MCP サーバーの対応は、Revit にとって新しい方向です。これまで「Revit の中で完結する自動化」だったものが、外側の AI から Revit のデータを参照する形も取れるようになります。ただし技術プレビューであり、本番の業務フローに組み込むかどうかは慎重に判断すべき段階です。

注意: 技術プレビュー(Tech Preview)は、仕様が変わったり、次の版でなくなったりする可能性があるという位置づけです。業務の手順書に組み込む前に、その点を社内で共有しておくことをおすすめします。

日々の作業で効く変更はどれですか?

いちばん影響が大きいのは、オプションバーの廃止です。画面の操作そのものが変わるため、手順書や研修資料を作っている会社は作り直しが必要になります。

  1. オプションバーの廃止 — これまでオプションバーにあった項目が、プロパティパレットとリボンへ移動しました。「いつもの場所にない」という問い合わせが社内で発生します
  2. ルールベースの連番付け — 要素の番号付けを、ルール・フィルタ・区分で自動化できるようになりました。モデルが変わっても追随します
  3. 壁を別の壁にホストできる — 躯体と仕上げのように、追従してほしい壁の関係を保てます
  4. IFC のパラメータマッピング — 書き出しの操作の中で、パラメータを IFC のプロパティセットへ割り当てられるようになりました
  5. タグまわりの改善 — 引出線の始点・終点を手で置けるようになり、複数カテゴリのタグが既定のタグとして使えるようになりました

このほか、鉄筋(配筋)と構造解析まわりの項目が非常に多く入っています。構造設計を扱っている場合は、公式の一覧を直接見たほうが早いです。

出典: What’s New in Revit 2027(Autodesk 公式ヘルプ)

自動化してきた作業が、標準機能になることもあります

ルールベースの連番付けは、これまでアドインや Dynamo で作られてきた処理の代表例です。標準機能でまかなえるなら、自作ツールを1本減らせます。

バージョンを上げるときは、新機能の一覧と自社ツールの一覧を突き合わせてみてください。「もう要らないもの」が見つかることがあります。保守の対象が減るのは、そのまま費用が減るということです。

自社で作ったツールは、そのまま動きますか?

確認が要ります。Revit 2027 では、アドインに関わる変更が2つ入りました。どちらもコードの中身とは別のところで効きます。

影響①
.NET 10 へ移行

Revit 2027 の実行環境が .NET 10 になりました。2025・2026 は .NET 8、2024 までは .NET Framework 4.8 です。Autodesk はアドインを .NET 10 の SDK でビルドすることと、.NET 8 からの細かな変更点を確認することを案内しています。

影響②
配置先の変更

全ユーザー向けアドインの読み込み先が C:\ProgramData\Autodesk\… から C:\Program Files\Autodesk\… へ変わりました。2026 までと同じ場所に置いても、2027 は読み込みません。なおユーザーごとの配置先は、これまでどおり使えます。

②はインストーラの問題です。コードが正しくても、配る仕組みが古いままだと動きません。複数のバージョンに配布している場合は、対象バージョンによって置き先を出し分ける必要があります。

また、Revit 2027 の API では削除された機能もあります。Autodesk が例として挙げているのは、AXM 形式の読み込み、Mechanical.Zone のメンバー、旧来の鉄筋作成メソッド、EnergyDataSettings の一部プロパティなどです。あくまで例であって一覧ではないため、該当しそうな処理を使っている場合は公式の API 変更点を直接確認してください。

🔴 読み込みに失敗しても、多くの場合エラーは出ません。リボンからボタンが消えるだけです。原因を追うには Revit のジャーナルファイルを確認する必要があります。詳しくは Revitアドインが動かなくなる理由 にまとめています。

出典: Migrating Revit to .NET 10(Autodesk 公式ヘルプ)Revit 2027 SDK: .NET 10, API Changes and Additions(Autodesk Platform Services 公式ブログ)

Revit 2027 に上げなければ、影響はありませんか?

いいえ。Revit 2026 には、すでに .NET 10 が来ています。2026年8月6日に公開された Revit 2026.5 で、実行環境が .NET 8 から .NET 10 へ切り替わりました。2027 に上げるかどうかとは、別の話です。

バージョン .NET 10 になる版 状況(2026年9月2日時点)
Revit 2027 最初から 公開済み(2026年4月7日)
Revit 2026 2026.5 🔴 公開済み(2026年8月6日)
Revit 2025 2025.5 未公開。Autodesk の予定は2026年9月第2週(現時点の最新は 2025.4.6)。⚠️ 公式に「時期は変わることがある」と注記あり

理由は Revit 側の都合ではなく、Microsoft の保守期限です。.NET 8 のサポートは 2026年11月10日で終了します(Microsoft 公式のサポートポリシー。同じ日に .NET 9 も終了)。次の長期サポート版(LTS)が .NET 10 で、こちらは 2028年11月14日までです。Autodesk は AutoCAD・Inventor・Vault でも、同じ時期に切り替えを進めています。

2027 の変更とは、性質が違います

🟢 2025.5 / 2026.5 に API の変更はありません。Autodesk によれば、この更新で変わるのは土台の .NET ランタイムだけです。アドインの作り方そのものを変える必要はありません。

⚠️ ただし「必ず動く」とは書かれていません。公式の記載は英語のみのため、原文をそのまま引用します(日本語は当社による訳です)。

There are no API changes in any of these products as part of this update. The only change is that the underlying .NET runtime is moving from .NET 8 to .NET 10. Existing plug-ins and add-ins should continue to work unless they are affected by .NET 10 breaking changes. In such cases, they will need to be recompiled and retargeted to .NET 10.

訳: これらの製品に、この更新による API の変更はありません。変わるのは土台の .NET ランタイムが .NET 8 から .NET 10 になることだけです。既存のプラグイン・アドインは、.NET 10 の破壊的変更の影響を受けない限り、引き続き動作するはずです。影響を受ける場合は、再コンパイルして .NET 10 に再ターゲットする必要があります。

Autodesk Platform Services 公式ブログ(2026年7月24日)

🔴 実際に、更新後にアドインが動かなくなったという投稿が出ています。あるアドインの公式フォーラムに、「Revit 2026 の最近の更新以降、長年使ってきたアドインが動かなくなった」という書き込みがあり、別の利用者から最新版へ入れ替えるよう助言が付いています。同じスレッドでは「多くのアドインは、最新版に更新しない限り .NET 10 に対応していない」という指摘も出ています。

⚠️ これは利用者どうしのやり取りであって、公式の見解でも、解消が確認された記録でもありません。あくまで「実際に起こりうる」ことの目安として挙げています。それでも、市販・無償を問わず、使っているものが対応済みかを確認しておく理由にはなります。

つまり、いま確認すべきなのは「2027 に上げるかどうか」ではありません。 2025 / 2026 を使い続ける場合でも、更新を当てた時点で .NET 10 になります。 自社ツールや市販アドインを使っている場合は、更新を全社に配る前に、検証用の1台で先に当てて確認するのが安全です。

出典: Autodesk Desktop Products 2025/2026: .NET 10 Updates(Autodesk Platform Services 公式ブログ)Revit 2026 Updates(Autodesk 公式リリースノート)Revit 2025 Updates(同)

Dynamo のグラフはどうなりますか?

Python ノードを使っていなくても、確認が必要です。Revit 2027 に入っているのは Dynamo 4.0.2 で、その土台である Dynamo 4.0 は 2025年11月25日にリリースされた大きな更新です。Dynamo 自体も .NET 10 へ移行しています。

確認すべき点は3つあります。

① 既定の Python エンジンが PythonNet3 に変わりました

長く使われてきた IronPython は Dynamo チームの保守対象から外れ、PythonNet3 への移行が推奨されています。ただし両者には互換性のない部分があり、Dynamo の公式ブログでは次のような違いが挙げられています。

変わった点 内容
型の扱い .NET のメソッドの型が厳密に照合されます。Python のリストを List[ElementId] のような .NET のコレクションへ明示的に変換する必要があります
コレクションの参照 IEnumerable に対する角括弧での直接参照ができなくなりました。list() などへの置き換えが必要です
クラスの継承 .NET の型を継承する場合、親のコンストラクタを明示的に呼ぶ必要があります
COM の利用 Windows の GAC にあるアセンブリを直接使えなくなりました。Excel の COM 連携などは書き換えが必要です

🔴 最後の項目は影響が大きくなりがちです。Dynamo から Excel を操作している処理は、そのままでは動かない可能性があります。

🟢 IronPython のパッケージ自体は、引き続き Dynamo のパッケージマネージャから入手できます。該当のパッケージが入っていれば、そのグラフはこれまでどおり動きます。ただし保守されなくなった以上、長く使うものは移行しておくほうが安全です。

② 古いノードが削除されました

Dynamo 1.x の時点で非推奨とされていた API とノードが、4.0 で削除されました。Python を使っていないグラフでも、該当するノードを含んでいれば動かなくなります。

公式には、2.x で非推奨になったものは 5.0 で削除する予定とも書かれています。「非推奨」の警告が出ているノードは、いずれ消えると考えて扱ってください。

③ PolyCurve の向きの扱いが変わりました

PolyCurve の向きが、入力した曲線群のうち最初の曲線の向きで決まるようになりました。挙動を一貫させるための変更ですが、古いグラフの結果が変わることがあります。

🟢 これは設定で元に戻せます。DynamoPreferences.xmlDefaultEnableLegacyPolyCurveBehaviortrue にすると、従来の挙動になります。

確認の順番: ①Python ノードを含むグラフを洗い出す → ②その中で Excel や外部ライブラリを触っているものを先に試す → ③非推奨の警告が出ているノードを探す → ④曲線を扱うグラフの結果を見比べる。全部を一度に直そうとしないほうが早く終わります。

出典: Dynamo PythonNet3 Upgrade: A Practical Guide to Migrating Your Dynamo Graphs(Dynamo 公式)Dynamo Core 4.0 Release(Dynamo 公式)

いつ上げるべきですか?

自社ツールの有無で、判断の重さが変わります。なお⚠️ ここでの判断は「2027 の新機能とUI変更をいつ受け入れるか」の話です。前節のとおり.NET 10 への切り替えは、2025 / 2026 のまま使い続けても更新とともに来ます。2つは分けて考えてください。

ツールが無い場合
比較的軽い

確認するのは、オプションバー廃止による操作の変化と、社内・協力会社とのバージョンの揃え方が中心になります。手順書がある場合は、その改訂も見ておきます。

ツールがある場合
先に調査を

アドインの .NET 10 対応、配置先の変更、Dynamo の Python エンジン変更が同時に効きます。本番で上げる前に、何本が影響を受けるかを洗い出しておくと判断しやすくなります。

新しい版を入れても、古い版と併用することはできます。社内に複数のバージョンが混在すること自体は珍しくありません。ただし、その場合はアドインもそれぞれの版に対応させる必要があるため、「どの版を対象にするか」を先に決めておくと後の作業が楽になります。

まとめ

  • Revit 2027 は 2026年4月リリース。その後 2027.1(6月)、2027.2(7月)と更新が続いている
  • AI 関連(Autodesk Assistant / MCP サーバー)はどちらも技術プレビュー。仕様が変わる可能性を前提に扱う
  • Accelerated Graphics は正式機能になった。大きなモデルを扱う現場には効きやすい
  • 🔴 オプションバーが廃止された。手順書・研修資料を持っている会社は改訂が必要
  • 🔴 .NET 10 は 2027 だけの話ではない。2026年8月6日の 2026.5 で Revit 2026 も .NET 10 になり、2025 も 2025.5 で続く。2027 に上げない会社も対象
  • 🔴 アドインは .NET 10 でのビルドが案内されており、配置先も変わった。コードが正しくても、配布の仕組みが古いと読み込まれない
  • 🔴 Dynamo 4.0 の影響は Python だけではない。既定エンジンの PythonNet3 化に加え、古いノードの削除PolyCurve の向きの変更がある
  • 新機能で置き換えられる自作ツールがないかも、あわせて確認する。保守の対象が減れば費用も減る

JIT株式会社

JIT株式会社は、建設業界向けの Revit アドインの開発・保守を継続して担当しています。リリース後の機能追加や、Revit 本体のバージョンアップに伴う移行も引き受けてきました。

「上げたら動かなくなった」「上げる前に、何が影響を受けるか知りたい」といったご相談を承っています。まずは現状を教えていただければ、対応できる範囲と進め方をご提案します。

新しくツールを作る場合は Revitアドイン開発、動かなくなったものの改修は バージョンアップ対応、Dynamo のグラフを C# アドインにまとめ直す場合は アドイン移行 に、それぞれ進め方をまとめてあります。

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