この記事で分かること: Claude API の基本構成、Tool Use による外部システム連携、RAG の仕組み、コスト感、そして最初の一歩の踏み出し方。「AIを業務に組み込みたいけど何から始めれば?」という方向けの実践ガイドです。
なぜ Claude を選ぶのか
LLM(大規模言語モデル)の選択肢は増え続けていますが、業務利用で Claude が強い理由があります。
社内マニュアルや契約書を丸ごと読ませて質問できるコンテキストウィンドウ(一度にAIに渡せるテキストの上限量)
「JSONで返して」「この項目だけ抜き出して」など構造化出力が正確
外部API・データベースとの連携が標準機能として組み込まれている
ビジネス利用に適したコンテンツポリシーとデータ保護
最小構成: 5分で動くチャットAPI
まずは最小限のコードで Claude と会話できる状態を作ります。
import anthropic
client = anthropic.Anthropic() # ANTHROPIC_API_KEY 環境変数を自動で読む
message = client.messages.create(
model="claude-sonnet-4-6-20250514",
max_tokens=1024,
messages=[
{"role": "user", "content": "当社の有給休暇制度について教えてください"}
],
system="あなたは株式会社サンプルの社内AIアシスタントです。丁寧かつ簡潔に回答してください。"
)
print(message.content[0].text)
ポイント:
systemパラメータに会社固有の情報や回答のトーンを指定することで、汎用AIが「自社専用AI」に変わります。ここがプロンプトエンジニアリングの出発点です。
Tool Use で外部システムと連携する
Claude の真価は Tool Use(関数呼び出し)にあります。AIが「この情報が必要だ」と判断したら、自動的にデータベースや外部APIを呼び出せます。
tools = [
{
"name": "search_inventory",
"description": "商品の在庫数を検索する",
"input_schema": {
"type": "object",
"properties": {
"product_name": {
"type": "string",
"description": "商品名(部分一致で検索)"
}
},
"required": ["product_name"]
}
}
]
response = client.messages.create(
model="claude-sonnet-4-6-20250514",
max_tokens=1024,
tools=tools,
messages=[{"role": "user", "content": "A4コピー用紙の在庫ある?"}]
)
Claude が search_inventory ツールを呼び出すと判断した場合、レスポンスに tool_use ブロックが含まれます。あとはサーバー側でその関数を実行し、結果を Claude に返すだけです。
Tool Use の活用例
| ユースケース | ツール名 | やること |
|---|---|---|
| 社内FAQ | search_documents | ナレッジベースを検索 |
| 在庫確認 | check_stock | 基幹システムのAPIを叩く |
| スケジュール調整 | get_calendar | Google Calendar から空き枠取得 |
| 見積もり作成 | calculate_estimate | 単価テーブルから自動計算 |
| お問い合わせ転送 | submit_contact | CRMにリードを登録 |
RAG: 社内文書をAIに読ませる
RAG(Retrieval-Augmented Generation) は、質問に関連する社内文書を検索して、その内容をプロンプトに含めてからAIに回答させる手法です。
- チャンク分割 — 社内文書(PDF、Word、Notion等)を意味単位に分割してベクトル化
- 質問のベクトル化 — ユーザーの質問を同じ方法でベクトルに変換
- 類似検索 — ベクトルDBから類似度の高い文書チャンクを検索
- プロンプト生成 — 検索結果をプロンプトに含めて Claude に回答させる
Claude の強み: 100万トークンのコンテキストを持つため、小〜中規模のドキュメント群(数百ページ程度)なら RAG を使わず丸ごと入力する方法も有効です。構成がシンプルになり、精度も上がるケースがあります。
コスト感: 思ったより安い
Claude API の料金は従量課金制です。Sonnet モデルの場合:
プロンプトとシステムメッセージの合計
AIが生成するレスポンスの量
1日50件の問い合わせ対応を想定
注: 料金は2026年5月時点の情報です。最新の料金は各サービスの公式サイトをご確認ください。
人件費と比較すると圧倒的にコスト効率が良いことが分かります。月1万円で24時間対応のアシスタントが手に入ると考えれば、投資対効果は明らかです。
まず何から始めるか
- ユースケースを1つに絞る — 「全部AIにしたい」ではなく「この業務だけ」から始める
- プロトタイプを作る — 上記の最小構成なら1日で動くものが作れる
- 社内でテスト運用 — 実際の質問で精度を検証し、プロンプトを改善する
- Tool Use で拡張 — 他システムとの連携を段階的に追加していく
JIT株式会社では、Claude / GPT / Gemini を使った業務AIの構築を、要件定義から運用まで一気通貫で支援しています。「こんなことできる?」という段階からのご相談も歓迎です。